研究課題/領域番号 |
17658119
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐藤 英明 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (80093243)
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研究分担者 |
佐々田 比呂志 東北大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (90158931)
松本 浩道 東北大学, 大学院・農学研究科, 助手 (70241552)
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キーワード | 卵子形成 / GDF-9遺伝子 / VEGF遺伝子 / ヒアルロン酸 / アポトーシス / peptidyl-prolyl isomerase / has1 / CD44 |
研究概要 |
1)TAP-GDF-9遺伝子をラット卵巣に直接注射したところ2次及び3次卵胞数が有意に増加した。また、TAP-GDF-9遺伝子注射の後にTAP-VEGF遺伝子を注射すると胞状卵胞数が顕著に増加した。 TAP-GDF-9遺伝子・TAP-VEGF遺伝子併用法は卵胞発育促進法として優れていることを明らかにした。 2)卵子周囲の卵丘細胞が卵子生存に促進的に働くこと、卵丘細胞間質に蓄積するヒアルロン酸が生存促進さゆをもち、アポトーシスのintrinsic pathwayの活性化を抑制することを示した。また、FSH→ヒアルロン酸→intrinsic pathwayのカスケードが卵子退行抑制・生存促進に機能することを明らかにした。 3)peptidyl-prolyl isomerase(Pin 1)アポトーシス)が卵子形成の最終段階(卵子成熟)で機能することを明らかにした。 4)ヒアルロン酸合成酵素遺伝子の発現を解析し、卵子に発現するhas1遺伝子が卵子生存促進に働くことを明らかにした。 5)卵胞閉鎖においてマクロファージはアポトーシス残渣を消去するのに必要不可欠である。しかしながら、この過程において鍵となる因子は明らかにされていない。そこでブタ卵胞閉鎖におけるマクロファージでのCD44mRNA、CD44タンパク質、CD44糖鎖修飾を調べた。卵胞閉鎖を5つのステージに分類したステージI、健常卵胞;ステージII、アポトーシス顆粒層細胞と不明瞭な基底膜が見られる初期閉鎖卵胞;ステージIII、完全に基底膜から剥離したアポトーシス顆粒層細胞がみられる中期閉鎖卵胞;ステージIV、貪食活性の上昇が見られる後期閉鎖卵胞;ステージV、崩壊した卵胞膜と強い貪食活性が見られる終期閉鎖卵胞。免疫組織化学的解析により、CD44を発現したマクロファージはステージIIIにおいて基底膜の崩壊にともなって卵胞腔内へと侵入することがわかった。半定量的RT-PCRでは、卵胞内細胞ではCD44 variant isoform(CD44v)ではなくCD44 stantard isoform(CD44s)のみが発現し、ステージIIIで発現量が増加した。ウェスタンブロットとレクチンブロットにより、CD44発現はステージIIIで急激に増加し、同時にポリラクトサミンで修飾されることが明らかとなった。マクロファージが侵入した後のステージIII〜Vの閉鎖卵胞では、マクロファージが発現するCD44がポリラクトサミンで修飾されていた。貪食活性はステージIVで上昇し始め、ステージVで最も高くなった。ステージIII以降、増加したCD44sタンパク質とポリラクトサミンによるCD44の翻訳後修飾はアポトーシス顆粒層細胞の消去に関与することが示唆された。
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