ヒトを初めとする哺乳類では、特別な疾病がない限り空腹時における血糖値は110mg/dlを越えることはない。もし、ヒトの空腹時における血糖値が200mg(dlを越える場合には糖尿病が疑われる。糖尿病を発症して血糖値が恒常的に高くなると、最終的に網膜症、腎症、神経障害などの合併症を誘発し、日常生活に支障をきたすことも多い。これらの合併症は、高血糖状態の持続に伴うブドウ糖代謝産物であるソルビトールの蓄積およびタンパク質の非酵素的タンパク質糖化反応による終末糖化物質(AGE : Advanced glycosylation endoproducts)の形成が原因となっている。家禽は、古くから高血糖動物として知られており、空腹時におけるニワトリの血糖値は200mg/dlを越えている。また、AGEの形成は非酵素的反応であるため高血糖であれば必ずAGEが形成されるはずである。そこで、本研究では、ニワトリにおける血清タンパク質の非酵素的糖化反応の経時的変化を調べるために、ウサギにニワトリ血清アルブミン由来のAGEを投与し、抗AGE血清を得た。得られた4種類の抗AGE血清の力価を測定したところ、2種類の抗AGE血清はAGEと反応せず、残り2種類の抗AGE血清のED50が希租倍率3060倍と460倍になった。また、ED50が希釈倍率3060倍の抗AGE血清は、血清アルブミンとも交差反応を起こすことが明らかとなったが、ED50が希釈倍率400倍の抗AGE血清は血清アルブミンとも交差反応を起こさず、ラジオイムノアッセイやウエスタンイムノブロットに使用できる可能性が示された。
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