研究課題/領域番号 |
17658124
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研究機関 | 生理学研究所 |
研究代表者 |
平林 真澄 生理学研究所, 行動・代謝分子解析センター, 助教授 (20353435)
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研究分担者 |
保地 眞一 信州大学, 繊維学部, 助教授 (10283243)
高田 達之 滋賀医科大学, 動物生命科学研究センター, 助教授 (90206756)
金子 涼輔 大阪大学, 大学院・生命機能研究科, 研究員 (40390695)
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キーワード | テロメレース / トランスジェニックラット / アトピー性皮膚炎 / TERT遺伝子 / CAGプロモーター / 精原細胞 / ES細胞 |
研究概要 |
1.TERT-Tgラット由来胚盤胞からのES細胞樹立: TERT-Tg雄ラットと交配した雌から蛍光下でTERTレポーターのEGFPを発現している初期胚盤胞を回収し、血清を含まない培養液で培養することにより、数ラインのES-like細胞株の樹立に成功した。本細胞株はラットES細胞の特徴と考えられる未分化マーカー、SSEA-1,Oct4,Nanogを発現しており、さらに弱いAlkaline phosphatase活性を示すというGS細胞にも似た性質を示した。このES-like細胞株は実験を繰り返しても再現性を持って樹立されることがわかった。ES-like細胞株を胚盤胞期胚に注入し、キメララットの作製を試みたが毛色への寄与は認められなかった。また核型解析を行ったところ、70〜80の染色体数を示す細胞が多く存在し、正常な2倍体細胞の比率が少ないと考えられた。 2.ラット精原細胞の長期培養、ならびに分化誘導後の顕微授精: EGFPを発現するトランスジェニックラット(ヘテロ)のGl雄産仔から調製した精原細胞とセルトリ細胞をLIFの不在下で10日間培養し、50%がEGFPの蛍光を発する円形精子細胞様の細胞集団を得ることに成功した。これらの細胞集団の倍数性分布をFACSによって調べたところ、培養の6日目から1Nのピークが出現していた。またこれらの円形精子細胞様の細胞集団では、半数体細胞特異的マーカーのプロタミン2のmRNAがRT-PCRによって検出された。これは、ラットの精子形成のうちの「タイプA精原細胞」から「半数体円形精子細胞」までの分化を体外で再現できた可能性を含んでいる。そこで、これらの細胞が正常な個体発生に寄与できるかどうかを円形精子細胞注入法(ROSI)による顕微授精によって調べたところ、移植胚の6%が着床したものの生存産仔は得られず、ラット精原細胞を体外で分化誘導した円形精子細胞の正常性を証明するには至らなかった。
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