研究課題/領域番号 |
17658126
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
桑原 幹典 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (10002081)
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研究分担者 |
稲波 修 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教授 (10193559)
平岡 和佳子 明治大学, 理工学部物理学科, 助教授 (00212168)
浅沼 武敏 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助手 (40332473)
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キーワード | fMRI / BOLD / 大脳皮質 / 第一体性感覚野 / モルヒネ / ホルマリン / カプサイシン / ラット |
研究概要 |
本年度、BOLD (blood oxygenation level dependent)法に基づくfMRI法を用いて、ラット脳の痛み刺激の解明手法の開発を行った。本研究の計画段階では、fMRI刺激時にはラットはある程度情動行動を抑えるために鎮静剤を用いて行ったが、α-クロラロースはこのような実験に最適な鎮静剤であるが、この薬剤は持続した投与が理想的であり、ボーラス投与の場合、ラットの応答が一定ではない事が知られている。このため、安定持続したα-クロラロース投与のために持続薬物投与装置マイクロシリンジポンプを用いておこなったが、それでも非常に不安定な結果となった。これは偏にα-クロラロースが持つ薬剤の特性であると考えられた。本研究では、1%イソフルラン麻酔下で痛み刺激fMRI実験を行った。この方法では再現性が高く、良好な結果が得られた。左前肢にホルマリン刺激を与えた場合、痛み刺激部位と反対側の大脳皮質右側第一体性感覚野において6%前後の応答が刺激直後から4分間観察され、一次反応が消失した後、刺激4分後から20分後まで2%程度の持続性の応答が見られた。モルヒネ投与下において同様の刺激を与えると、刺激直後の応答、ならびにその後の持続性の応答は見られなかった。一方、痛み刺激をカプサイシン刺激にて行ったところ、刺激直後の応答は平均で4%前後見られたが、1分以内に消失した。モルヒネ投与下では、刺激直後の応答はホルマリン刺激と同様に消失したが、その後の大脳全域で見られる原因不明の応答によるばらつきは抑制されなかった。このように、本年度はラット脳における痛みの評価系の質的向上、再現性の向上が達成された。翌年度以降に、この手法により様々な神経因性疼痛モデルのfMRIによる評価を行う。
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