研究概要 |
(1)今年度は,作物根圏微生物に作物間で差があるかどうかを調べた。材料は,小麦,とうもろこし(イネ科),レンゲ,大豆(マメ科),大根,ナタネ(アブラナ科),ヒマワリ,シュンギク(キク科)の4科8作物を用いた。また,コントロールとして何も植えない区を設けた。種皮滅菌した種子をポットに播種し,約1ヶ月,人工気象室で栽培した後,根圏土壌を取り出し,DNAを直接市販のキットを用い抽出した。バクテリアと真菌に特異的なプライマーにより,根圏土壌のバクテリアと真菌をPCRにより増幅した。その後,濃度勾配電気泳動法によりDNAを分離した。バンドパターンを読み取り,UPMGA法により系統樹を作成し,根茎土壌の差を調べた。 (2)バクテリアでは,根圏土壌における群集構造は,どの作物もコントロール区(無栽植区)にくらべ,差が見られなかった。他方,真菌は,コントロール区と栽植区で大きな差が認められた。 (3)真菌において,作物間で微生物群集構造に差が見られた。差は,アブラナ科とそれ以外の科の間に見られ,アブラナ科が真菌において特異的な群集構造を作ることが示唆された。これは,世界的にも新しい知見であるが,さらに材料を増やし,この結果の再現性を確かめる必要がある。
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