研究概要 |
短伐期ヤナギ林の育成には,植栽地の気候・土壌条件に適応して最大のバイオマス生産性を示すヤナギ種が要求される.東北地方南部での栽培に適するヤナギ種を選抜する目的で,エゾノキヌヤナギ,3クローン;オノエヤナギ,2クローン;セイヨウキヌヤナギ,1クローンの合計6クローンを,2005年夏に収集し同年末まで栽培試験を行った. 2004年に成長した枝条を採取し,15cmの挿し穂を調整して,1/5000アールのワグネルポット中の園芸培土(クレハ化学製)に植え付けた.挿し穂の発根率は90%以上であった.直射日光の当たらない屋外で栽培した.常時地表面が乾かない程度に毎日灌水した.施肥はポット当たり4個のエードボールを置いて行った. 6クローンのなかから,エゾノキヌヤナギFXM,オノエヤナギSEN1,セイヨウキヌヤナギRs82の3クローンを選び,10月中旬以降,毎週葉の黄化程度を観察した.葉の黄化の開始時期は,FXMが10月末,SEN1が10月中旬,Rs82が11月末であった.黄化開始時期の遅いRs82では,光合成が遅くまで持続するためバイオマス生産量が大きい可能性がある.なお,2005年は秋から冬にかけて温暖であったため,黄化の開始時期が遅れた.12月に入っても未だに黄化が進行中である.今後,黄化・落葉が完全に終わった後で,枝条の長さを測定してクローン間の伸長量を比較する予定である. また,エゾノキヌヤナギFXMでは,3月末から発根を始めた植物(地上部の生長が始まっていない状態の50cm長の挿し穂)を,12号鉢に植えて12月までの生長を観察したところ,葉の黄化開始時までに樹高が3mに達した.
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