研究概要 |
土地利用型畜産と林野的土地利用の基本仕様を把握する目的で,放牧,自給飼料栽培による畜産経営,平地林の管理実態を調査分析した。土地利用型畜産については,山口型放牧と宮崎県T町の耕畜複合経営の飼料給与・営農実態などを調査し,自給飼料・野草の使用量および農地利用面積を推計した。その結果,0.4〜0.6ha/頭の放牧を導入した畜産経営が可能であること,輸入飼料依存率が50%を超える農家の農地利用面積は0.2ha以下/頭になることなどを明らかにした。 林地利用については,過去の利用履歴を調査し,定常伐採による森林バイオマス開発ポテンシャルを推計するとともに,利用履歴を考慮して林地分類を行い,分類別材積調査に基づき地域の現存森林バイオマス量を見積もった。 さらに,地域状況(土地・水利条件など)に応じて異なる地域資源(バイオマス,再生可能エネルギー)の供給可能量と需要のバランスを比較することで,地域の資源生産・利用計画を検討することができる資源需給最適化プログラムの基本手順とモデル開発を行なった。プログラムの入力には,GISソフトウェアを使用して微小なポリゴンごとに作成した資源と需要の分布を任意サイズのラスタデータとして出力したデータ(行列メッシュ形式)を用いることとし,プログラムは(1)地域資源分布と需要分布を格子状メッシュ内の分布量として表す、(2)各格子内で資源・需要バランスを最適化するための単位格子位置・大きさを計算・出力できるものとして開発した(検索型最適化プログラム)。 今後,本研究で採用した手法・手順を発展的に適用して放牧,林地的利用,再生可能資源生産に関して「制約・条件分布(土地条件など)」,「制約・条件別生産手段(土地利用)」と「手段別単位資源生産量」を確定することができれば,GISと連携した検索型最適プログラムにより,最適土地利用を具体的に検討することが可能といえる。
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