研究概要 |
1,4-位連結光学活性オリゴナフタレンのボトムアップ型精密有機合成を行っている。今年度は不斉発現のメカニズムの解明と、合成したオリゴナフタレンを用いたエネルギー移動挙動について研究を行った 1.メカニズムの解明では、当初不斉発現とは無関係であろうと思っていた、側鎖が大きな役割を果たしていることが判った。側鎖の種類によって、速度論支配、熱力学支配の選択性発現が左右されることを見出した。本研究については現在投稿中である。 2.オリゴナフタレン骨格にピレンを導入した化合物を合成した。ナフタレン骨格のみを選択的に光励起したところ、ナフタレンからピレンへのエネルギー移動が効率的に起こる事を見出した。ナフタレンのユニット数が増加しても、ピレン環へのエネルギー移動量子収率は変化しないという興味ある知見を得た。 3.オリゴナフタレンの最も上下に位置するナフタレンからポルフィリン骨格を連結した化合物を合成した。CD測定の結果、分子全体のねじれを反映したコットン効果が見られる事を確認した。ナフタレン16量体では、ポルフィリン間の距離は66Aと見積もられる。これは現在報告されている励起子相互作用のなかでは最も離れた位置にある、励起子相互作用の検出の例である。
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