研究課題
昨年度に引き続き1,4-位連結光学活性オリゴナフタレンのボトムアップ型精密合成を行った。二量化反応の際の軸性不斉発現のメカニズムを明らかにし、ナフタレン環上の側鎖の種類により三種類存在することを明らかにした。これら三種頬の異なるメカニズムにより、いったい何量体まで合成可能なのか?この点に注目し研究を行った。その結果、側鎖にメトキシ基を持つ基質では16量体まで合成可能であり、側鎖にアミド基を持つ基質では24量体まで合成可能であることを明らかにした。側鎖がブトキシ基の基質については現在合成中であり、16量体までは問題なく構築できた。さらに合成したオリゴナフタレン類の軸性不斉の決定がこれまで、困難な課題であったが、二量化反応の際に生じる軸性不斉が不明の軸の上下に存在する水酸基に着目し、その水酸基にテトラフェニルポルフィリン(TPP)を導入しそのCDから決定する方法を開発した。本法は今後合成予定の化合物にも広く適応可能であり極めて有用である。更にオリゴナフタレンの両端のナフタレンにTPPを導入した一連の化合物では、二枚のTPP間の空間的な位置関係(ねじれ)を反映したCDが得られた。このCDの強度は大まかに二枚のTPP間の距離の二乗に反比例していた。ナフタレン16量体においてもCDが測定可能であり、現在報告されているなかで最も遠距離の励起子相互作用を検出したものであった。これらの基質については現在エネルギー移動の研究を行っており、興味ある知見が得られている。
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