研究課題/領域番号 |
17659010
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
佐治 英郎 京都大学, 薬学研究科, 教授 (40115853)
|
研究分担者 |
近藤 科江 京都大学, 医学研究科, COE助教授 (40314182)
河嶋 秀和 京都大学, 医学研究科, 助手 (70359438)
上田 真史 京都大学, 医学研究科, 助手 (40381967)
|
キーワード | 低酸素領域 / 腫瘍 / 分子イメージング / 低酸素誘導因子 / ビオチン誘導体 / 放射性医薬品 |
研究概要 |
本研究では、臨床診断上強く望まれている腫瘍や虚血性疾患の質的診断を可能とする、低酸素領域のインビボ非侵襲的イメージングのための新しい方法として、(1)低酸素領域においてのみ安定に存在し、正常組織では分解を受けて消失してしまう酸素応答分解型タンパク質に、細胞膜透過性に有効な部位と放射性プローブ結合部位とを導入した二官能性タンパク質を設計する、(2)この二官能性タンパク質を投与して、正常組織での分解と低酸素領域への分布が完了後(プレターゲティング)、このタンパク質の放射性プローブ結合部位に放射性リガンドを選択的に結合させる、ことにより、酸素濃度に逆依存して低酸素領域を陽性にイメージングする方法を開発することを計画した。そのために、前年度までに、酸素応答分解型タンパク質としてHypoxia-inducible Factor-1(HIF-1)に着目し、その分子内の酸素依存的分解に関与するアミノ酸配列を選出し、これに細胞膜透過性を有するアミノ酸配列(PTD)および放射性ビオチン誘導体を結合するためのアビジンをコードするDNA断片を結合して発現ベクターを構築し、これをもとにタンパク質を作成した。本年度は、このタンパク質の低酸素での安定性および細胞、体内動態での腫瘍移行性、プレターゲット法の可能性について検討した。その結果、このタンパク質は低酸素状態で培養した細胞で安定に存在することを認めた。さらに、このタンパク質を蛍光およびRIで標識し、それらを腫瘍移植動物に投与し、その腫瘍集積性を検討したところ、プローブ投与早期には体内全体に分布していたが、その後正常組織からは時間とともに消失し、投与1日後では腫瘍で高濃度に存在していた。さらに、この結果に基づいて、このタンパク質をプレターゲティングし、その後、これに結合する放射性ビオチン誘導体を投与することにより、RIタンパク質自身を投与する場合に比べて、撮像時間の短縮とS/N比の向上の可能性が示され、プレターゲティング法の有効性を見出した。
|