ドメインインプリント法は、医薬品の薬理活性部位に対する分子インプリントポリマーを調製する方法である。β-遮断薬である(S)-propranololの薬理活性部位を選び、1)表面インプリント法および2)逆ミセル法により分子プリントポリマーの調製を行った。しかし、逆ミセル法では、(S)-propranololを認識する分子インプリントポリマーを調製することができなかった。そこで、以下の手順で、表面インプリント法により行った。(1)インプリント分子を添加せずに、グリセロールジメタクリレートを用いて多段階膨潤重合法により支持体となる親水性粒子径均一ポリマー粒子を調製した。(2)インプリント分子((S)-propranolol)およびそれと相補的に相互作用する機能性モノマー(例えば水素結合、イオン結合、π-π相互作用および形状認識性等を発現する官能基を有するモノマー)を選択し、これらを水系の溶媒に溶解させ、支持体のポリマーの存在下で重合を行った。 得られた分子インプリントポリマーの特異性、選択性をHPLCおよびマイクロチップ電気泳動装置を用いて評価した。次に、得られた結果を、分子インプリントポリマーの調製法の最適化(テンプレート分子、モノマー、架橋剤、水系溶媒の種類の検討、さらに添加する時間、重合温度、重合時間などの条件についての検討)にフィードバックすることにより、β-遮断薬に交差反応性を有する分子インプリントポリマー(β-遮断薬である(S)-propranololの薬理活性部位に対する分子インプリントポリマー)得ることができた。
|