ドメインインプリント法は、医薬品の薬理活性部位に対する分子インプリントポリマー(MIP)を調製する方法である。昨年度は、β-遮断薬である(S)-propranololの薬理活性部位を選び、中国伝承薬中の活性成分の検索を行ったが良好な結果が得られなかった。そこで、茶カテキンの一種であり、ポリフェノール化合物であるエピガロカテキンガレート[(-)-EGCg]に対するMIP用いて、種々の中国伝承薬(当帰、甘草、牡丹皮、元胡、蒲黄、丹参、杜仲など)中の活性成分の検索を行った。丹参の抽出液をMIPおよびノンインプリントポリマー(NIP)カラムに注入後のクロマトグラムを比較した。MIPカラムでは約12分に大きなピークが見られたが、このピークはNIPカラムでは溶媒先端に溶出していた。これは、丹参中の成分の一部がMIPカラムに選択的に保持されたことによるものである。丹参中には、Tanshinone IIA等多くの活性成分が含まれていると報告されている。現在、約12分に溶出したピークの成分の同定を進めている。このように、得られたMIPが中国伝承薬および薬草中の活性体のハイスループットスクリーニングに適用可能であることが明らかとなった。 さらに、1)中国伝承薬および薬草中の活性体の探索に有用なテンプレート分子の検討、2)水溶性の活性成分の探索システムの構築、3)微量の活性成分の探索システムの構築、4)オンラインでの活性成分の同定等について検討する予定である。
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