研究課題/領域番号 |
17659019
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
武智 昌幸 近畿大学, 薬学部, 准教授 (00140343)
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研究分担者 |
八木 秀樹 近畿大学, 薬学部, 准教授 (40250740)
益子 高 近畿大学, 薬学部, 教授 (30157200)
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キーワード | アポトーシス誘導剤 / 細胞内カリウムイオン / ジギトキシン / 白血病細胞 / カリウム指示薬 / フローサイトメーター |
研究概要 |
抗癌作用をもつ天然物を検索する過程で、digitoxin(以下、DTXと略す)などの強心配糖体に、HL60細胞などのヒト白血病細胞などに対する細胞毒活性を見出した。ところで、昨年度の研究報告にもあるように、当初の目的である「ビオチン化抗強心配糖体による抗癌作用の増強」を検討中に、培地中に塩化カリウム溶液を添加すると、DTXの細胞毒性が減弱されることを見出したので、今年度はその実験を更に発展させることにした。DTXをHL60細胞に作用させた後の生細胞内のカリウムイオン濃度をPBFIとPIで染色後、フローサイトメーターで測定すると、無処理細胞に比べて、減少していた。そこで、培地に塩化カリウム溶液を添加したのちに、DTX処理した細胞内のカリウムイオン濃度を測定すると、添加しない場合より更に減少した。一般にアポトーシス誘導剤は細胞を縮小させると同時に、細胞内のカリウムイオン濃度が低下すると考えられているので、Staurosporinなどの他のアポトーシス誘導剤(10種)についても検討した結果、薬剤によっては細胞が増大したり、細胞内のカリウムイオン濃度が増大した。例えば、cytarabineを作用させると細胞内カリウムイオン濃度が上昇し、staurosporinを作用させると減少した。しかし、staurosporinの場合はDTXの場合と異なり、塩化カリウム溶液を添加しても細胞内のカリウムイオン濃度や細胞毒性は殆ど変化しなかった。このように、薬剤によって細胞内のカリウム濃度の変化は様々であり、作用機作の違いを反映しているのかもしれない。一般に細胞内のカリウムイオンはアポトーシスを阻害すると考えられているが、我々のデータはそれと矛盾する結果となった。また、薬剤処理によって細胞内カリウムイオンが上昇することは通常では考えられない。
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