研究概要 |
本研究は、ミクログリアの持つ血液脳関門(BBB : blood-brain barrier)通過機能に関与する分子を同定し、その実態を明らかにすることである。そのために、BBBを構成している内皮細胞をトランスウェルのメンベレン上(孔サイズ:3μM)に培養し、ミクログリアがトランスウェル上部チャンバーから下部チャンバーに通過するというトランスマイグレイションアッセイを確立し、これを用いて、これに関与するミクログリア上の分子の同定を実施する。 作年度は、マウス由来株化ミクログリアRa2[澤田(名古屋大学)により樹立]を用いて、トランスマイグレイションアッセイのための至適条件検討を行った。 本年度は、このアッセイを使ってBBB通過機能に関与する遺伝子を同定するため、Ra2細胞よりレトロウイルスベクターとするcDNAライブラリーを作成することを主目的とした。 そのため、10^9のRa2細胞より、poly(+)RNAを調整し、Gubler-Hoffman法に基ずいてcDNAを作成した。このcDNAは、レトロウイルスベクターpMX(Onishi, et al., Exp.Hematol.24:324-329、1996)に挿入し、その結果、平均インサートサイズ1kb、2X10^6cfuのcDNAライブラリーが作成できた。これは、標準的はcDNAライブラリーの条件を満たすものであった。 現在、このライブリーをRa2細胞に感染させ、平成17年度に確立したトランスマイグレイションアッセイ系を使って、実際に関与するcDNAのスクリーニングをすすめているところである。
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