研究課題/領域番号 |
17659030
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
杉本 昭子 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教授 (60143608)
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研究分担者 |
影近 弘之 東京医科歯科大学, 大学院・疾患生命科学研究部, 教授 (20177348)
伊藤 茂 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助手 (70143609)
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キーワード | MMP / 阻害活性 / ガン転移抑制作用 / 大豆 / サポニン / ジヒドロピラン |
研究概要 |
MMP(マトリックスメタロプロテアーゼ)はZn^<2+>を含んだエンドペプチダーゼファミリーを構成し、細胞外基質を分解する酵素であり、転移性の癌の発症に深く関与している。我々は大豆胚軸の抽出物からMMP-1、2、8、MT-1など複数のMMPの活性を阻害する物質、ソヤサポニンαgとソヤサポニンβgを見出した。MMPの構造は、何れも活性中心にZn^<2+>が存在し、その近辺にS^1ポケットと呼ばれる疎水性部位が存在している。Zn^<2+>近傍はよく保存された領域でMMPの種類による変化は少ないが、S^1ポケット領域はMMPの種類によって大きさが異なっている。これまでに知られているMMP阻害薬の殆どは、ヒトロキサム酸骨格を持つ化合物に限定されていて、ヒドロキサム酸の2つの酸素が、Zn^<2+>と配位し、さらに適当な大きさの置換基が疎水性ポケットに入ることで活性を発現すると考えられている。 我々の見出したサポニンはヒドロキサム酸とは全く構造を異にするため、本年度はソヤサポニンαgとβgの活性発現部位を特定し、リード化合物を創製することを主目的に研究を行った。2つのサポニンは何れもソヤサボゲノールBをアグリコンとし、C22位にジヒドロピラン誘導体(DDMP)を持つ。これらのサポニンの活性発現に必須な部分構造を決定するため、既知のヒドロキサム酸骨格を有するMMP阻害活性物質と、ソヤサポニンαg、βgの3次元構造を比較検討した。その結果、DDMP部位がMMPの活性中心であるZn^<2+>に配位している可能性が高いことが判った。現在このDDMP部の構造を生かし、種々の長さのリンカー部を持つ誘導体の合成を行い、MMP阻害活性の評価を行っている。
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