DNAマイクロアレイを用いて88種の薬物動態関連遺伝子の発現プロフィールをHepG2、HuH-7、FLC4、FLC5およびFLC7細胞において比較解析した。その結果、数種のsulfotransferase(SULT)およびglutathione S-transferase(GST)分子種を含むtransferaseおよびABCB1およびABCC2など10遺伝子の発現はすべての細胞において認められたが、HepG2細胞においてはCYPおよびUGT分子種の発現は見られなかった。しかし、PXR mRNAの発現量はHepG2細胞において最も高い発現を示した。そこで、CYP3A4遺伝子のPXRを介した転写活性化に関する細胞間の差異について検討したところ、HepG2細胞はPXRを導入しなくてもrifampicinに対する応答性を示すことが明らかとなった。さらにHepG2細胞においてはHNF4α導入によるPXRの転写活性化への影響は小さく、またウエスタンブロットによりPXRおよびHNF4αの発現が認められたことから、HepG2細胞では内因性のPXRおよびHNF4αがCYP3A4遺伝子の転写活性化に関与することが示唆された。さらに、rifampicin曝露によりCYP3A4 mRNAが有意に増加したことから、HepG2細胞はPXRやHNF4αを導入することなく、PXRを介したCYP3A4の誘導を検出できる細胞であることが示された。
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