研究課題/領域番号 |
17659049
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
玉井 郁巳 東京理科大学, 薬学部, 教授 (20155237)
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研究分担者 |
前田 智司 東京理科大学, 薬学部, 助手 (60303294)
相沢 信 日本大学, 医学部, 教授 (30202443)
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キーワード | トランスポーター / 血球 / 分化 / 増殖 / アミノ酸 / アルギニン / CAT1 |
研究概要 |
細胞の分化と増殖を左右する因子としてサイトカインを中心としたタンパク・ペプチド性の生理活性物質がある。しかし、それらが実際に細胞の増殖・分化の調節を引き起こしていくためには、細胞を形成するための低分子栄養物を選択的に摂取したり、増殖・分化過程で生成した不要代謝産物を処理するためのトランスポーターを必要とする。本研究では、トランスポーターの発現が細胞の分化・増殖過程の必要性に応じて変動すると考え、トランスポーターの発現プロファイル変動から細胞が必要とする低分子栄養物の同定を試みた。モデル細胞として、分化・増殖活性の高い血球細胞を用いた。塩基性アミノ酸を輸送するCAT1トランスポーターを欠損したマウスでは貧血を発症することがわかっている。そこで、CAT1に着目し、その基質となるアミノ酸の血球分化に対する影響を調べた。ヒト赤血球への分化を誘導することが可能な細胞株であるK562細胞を用い、ブチレート刺激による赤血球への分化に対するアルギニンの影響を測定した。その結果、アルギニン非存在下で培養した場合、赤血球への分化は消失した。しかし、赤血球以外の血球細胞への分化にはほとんど影響しなかった。さらに、CD34+のマウス造血幹細胞を調製し、その分化を評価したところ、同様にアルギニン非存在下では赤血球への分化の指標となる細胞外抗原は検出されなくなった。また、アルギニン以外のCAT1基質となるリジンやヒスチジンを欠乏させた細胞では、赤血球分化は進行した。以上の結果より、アルギニンが赤血球形成に極めて重要な役割を果たしていることが、トランスポーターの発現プロファイリングによって見いだされた。
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