平成18年度において、プロトコル改善によってルシフェラーゼの発現量を増大させ、かつルシフェラーゼ基質の胚への投与法を工夫し、ルミノメーターを用いることによって、ルシフェラーゼ強制発現による発光を生体胚において検出することに成功した。測定される発光量を定量的に測定するため、ウミシイタケルシフェラーゼと蛍光タンパク質(Venus)をタンデムに連結した新しいセンサータンパク質(Rluc-Venus)を作製した。これを用い、ルシフェラーゼの生体胚においての発光量、ホモジェネートでの発光量、そしてVenusの蛍光量の高い相関を確認し、生きた胚のルシフェラーゼ発現量を非侵襲的かつ定量的に測定できることを確認した。しかし、現有の高感度カメラを使用した観察では、ルシフェラーゼ発光を画像として得るために30分以上の露出時間が必要であったため、当初の目的であった励起光なくしてのメダカ生体組織の可視化のためには、カメラの高々感度化による検出感度の向上、ルシフェラーゼ基質の投与法の改善による発光量の改善が必要であることが明らかとなった。 そこで、生体胚におけるルシフェラーゼ発光の検出系とRluc-Venusを融合させ、メダカ生体胚における遺伝子発現を長期間にわたって検出するプロモーターアッセイ系を開発した。ポジティブコントロールとしてメダカ熱ショックプロモーターをメダカゲノムよりクローニングし、Rluc-Venusの上流に組み込んだベクターを構築し、メダカ胚に導入した。このメダカ胚に熱ショックを与えた際のルシフェラーゼの発光量の変化を5日間継続して計測し、熱ショックによる熱ショックプロモーターの活性化を生体胚において計測することに成功した。本研究によって開発した生体胚プロモーターアッセイ系は、発生における遺伝子発現の解析だけでなく、メダカ胚を用いた毒性試験、環境試験などへの応用が期待される。
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