研究課題
新規電位センサー蛋白の動作原理の解明のため、VSPとVSOP1について以下の実験を行った。(1)VSP:電位センサードメインのS4の陽電荷が電位感知に重要であることがわかっているが、これとカウンターバランスして構造変化する部位(おそらく陰性チャージ)がVSP蛋白内に由来するのか、脂質などの環境に由来するのかは明確でない。そこで、Ci-VSPの電位センサードメインの陰性チャージをもつ酸性アミノ酸を中性アミノ酸であるアスパラギンに置換し、アフリカツメガエル卵母細胞を用いてゲート電流の計測を行った。S2の酸性アミノ酸151Dをアスパラギンに置換したものではゲート電流のQ-Vカーブ(電荷-電圧曲線)が脱分極側へシフトし、S2の164Dと186Dを同時にアスパラギンに変更したものでは、逆にQ-Vカーブが過分極側へシフトした。このことは、異なる部位の酸性アミノ酸がS4に大して異なる役割をもっており、電位センサーが膜電位を感知するのに貢献するが、ひとつの酸性アミノ酸が必須の役割を担っている訳ではないことが示唆された。今後他の酸性アミノ酸についても変異導入実験を行い、電位感知におけるカウンターバランスの機構を理解し、電位依存性チャネルの場合との比較を行いたい。(2)VSOP1:VSOP1は細胞内外のpHに依存して電位活性化曲線が変化する。pHと膜電位にクロストークの分子実体の解明がこの蛋白の動作原理の理解にもっとも重要である。そこでS4の様々な領域にアミノ酸置換を行い、これらの分子の膜電位依存性とpH依存性を計測した。多くの例で電流電圧曲線およびコンダクタンス電圧曲線はシフトが認められたが、pH感受性が失われた例は見られなかった。このことから、電位感知に関わる部位とpHの感受性を決定する部位とは異なる可能性が示唆された。
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