これまでに慢性自由行動ラットの視床下部室傍核の単一神経活動をマイクロワイヤにより記録することを行ってきた。この記録において重要なことは効率よく高振幅のユニット活動が記録できることである。しかしながら複数本のマイクロワイヤ(直径20-40μm)を鋭利なはさみでカットしたものでは、電極微動装置により移動させてユニットが全く記録できないワイヤと小さなユニットが記録できるワイヤがある。これらより電極先端の形状に着目し、記録できる電極とそうでないものを比較しようとしたが、従来使用している手術用顕微鏡では電極先端を確認するためには倍率が不足している。また透過光を用いる光学顕微鏡は対象が透明でないために、また作業領域が狭いために使えない。そこで本補助金によりワーキングディスタンスが25mmで最大倍率1000倍のレンズ(Keyence VH-Z100)を購入した。またその下で使うXYステージとその上で電極を保持しながらZ方向の移動を可能にする装置を作成した。これらにより電極先端を観察しながら機械的研磨および電解研磨が行えるシステムが構築できた。しかしながら対象が直径20-40μmと極めて小さいために当初想定していた機械的研磨を行うことが難しく、また金属が必要以上に露出しないようにコーティングするのも容易ではない。現在、この機械的に研磨およびコーティングする方法を考案しそれを実現するための方法を確立している。現在このシステムを用いて試作した先端形状の異なる電極を実際に動物に移植してユニット活動を比較検討しようとしているところである。そのうちある形状のものにより最大振幅が1.5mVのユニット活動を記録できることを確認した。現在その再現性について検討中である。
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