研究課題
これまでの様々な研究により、神経細胞における温・冷刺激の多くが、Ca^<2+>流入を伴う多様なイオノトロピック受容体により受容されることが報告されている。近年、海外のグループにより、YC2.1を強制発現させたショウジョウバエを用いて、温感受性ニューロンの画像化が可能であることが報告された。しかしながら恒温動物における同様の解析はまだ行われていない。そこで本研究では、温度制御や遺伝子導入が容易で、且つ、すでに作成に成功しているマウス視床下部スライス培養を用いて、哺乳動物の温度感受性ニューロンの特性を詳細に解析することを試みる。YC3.6を発現しているPOAHニューロンのカルシウムイメージングが正しく行なわれていることを確認するために、まず内側視索前野mPOAHに多く存在することが報告されているヒスタミン受容体の刺激実験をおこなった。ヒスタミン1-100μMは用量依存的にmPOAHニューロンの細胞内Ca^<2+>を増加させ、こうした応答は約3割のmPOAHニューロンにおいて観察された。また、これらのうちの幾つかのニューロンでは、アデノシン刺激より細胞内Ca^<2+>を減少させるものもあった。温・冷刺激では、温刺激(5℃)に対して細胞内Ca^<2+>を増加させるものが観察されたが、一貫した結果が得られず、今後、標本レベルの温度制御をより正確に行なうための実験装置のセットアップをもう少しつめる必要があるものと思われる。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (1件)
Neuroscience 130
ページ: 1029-1040