我々は標的とする摂食関連遺伝子に対する適合配列を発現するプラスミドを構築中である。このプラスミドベクターは合成二本鎖RNAそのものと比較して、効果が長時間持続し、投与後のある程度の期間における摂食行動やそれに付随する体重の変動を観察する上では最適であると考えている。具体的にはpRNA-U6.1ベクター(GeneScript)にNPY、NPYY1、Y5受容体に対するターゲット配列を挿入した。この転写産物はU6 RNA polymerase IIIによる転写反応により10塩基のループ形成部位を中間に含み、ステム部位に21塩基ずつのターゲット遺伝子に相補的なセンス配列とアンチセンス配列を有するステムループ状のRNAを細胞内で合成する。さらにはDicerなどによりプロセッシングを受け、その分解RNA産物がRNA干渉として機能すると考えられる。 ターゲット配列の選択はGeneScript社のホームページにあるsiRNA target finderを用いてopen reading frame内でGC%レンジを30-60%の範囲に設定してマウスNPY cDNA配列について検索した。その結果、マウスNPY cDNAの77-99bpの領域が最も適切な配列である可能性が示された。同様に、Y1受容体では775-796bp、Y5受容体では867-887bpの配列が示された。そこで、これらの配列を持つoligo DNAを合成してpRNA-U6.1ベクターに挿入した。これらのプラスミドをリポフェクションによって視床下部に導入する。摂食行動を亢進するNPY/AgRPニューロンと、NPY受容体によって調節を受けるPOMCニューロンが存在する視床下部弓状核に導入する必要がある。また、NPY/AgRP、POMCニューロンが投射している視床下部室傍核にも導入する予定である。
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