研究課題
低酸素反応性因子の1つのサブタイプであるHIF-2αの新たな調節因子としてInt6が同定された。本研究にて、この因子の役割として、(1)HIF2の蛋白発現を負に調節する制御因子であること、(2)MMTVにより発現される恒常不活化型変異体Int6-ΔCは、HIF-2αの発現安定化および転写活性を上昇させること、(3)Int6のベクター型siRNAをマウス皮下に遺伝子導入したところ、正常血管の新生が惹起されることなどの結果から、Int6は乳癌の癌抑制遺伝子として低酸素反応性因子HIF-2αを直接調節するだけでなく、癌化や悪性度、転移などに関わる血管新生に必須な因子であることが明らかとなってきた。siRNAによるInt6の抑制は、HIF-2αを介する血管新生を惹起するが、誘導された血管新生は完全な動脈と静脈から構成されており、腫瘍に見られるような出血を伴う血管都は異なることが判明した。このような血管新生に関わる因子を探索するため、Int6のsiRNAを用いた予備的なDNAアレイによる解析を行った。その結果、VEGF、bFGF、HGFだけでなく多くの血管新生因子が上昇し、興味深いことには、各因子のサブタイプの誘導に特徴的なパターンが見られたことである。今後、正常血管誘導に必須な因子を同定し、血管新生の機序を明らかにしていく予定である。このように、Int6はいわば血管新生のマスタースイッチの一つである可能性が出てきた。今後は、さらに詳細な検討を行い、血管新生の機序を解析する。また、Int6のsiRNAの臨床医薬としての開発が企業との共同研究共同開発として開始された。人工的な血管新生は様々な疾患にて応用可能である。糖尿病や閉塞性疾患などによる下肢の血管閉塞や心筋梗塞などの血管閉塞などだけではなく、筋ジストロフィーなど神経障害による筋肉萎縮の際、血管新生に伴って二次的な筋肉再生が始まることが知られている。この面からも血流の不足した臓器の再生医療には今後欠くべからざる方法となることが予想される。
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