研究課題/領域番号 |
17659094
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
福井 清 徳島大学, 分子酵素学研究センター, 教授 (00175564)
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研究分担者 |
坂井 隆志 徳島大学, 分子酵素学研究センター, 助教授 (80284321)
頼田 和子 徳島大学, 分子酵素学研究センター, 助手 (60116879)
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キーワード | D-アミノ酸酸化酵素 / 統合失調症 / 疾患感受性遺伝子 / D-セリン / アストロサイト |
研究概要 |
本研究は『中枢神経系においてD-アミノ酸酸化酵素(DAO)が、脳内D-セリンの代謝を司るキーエンザイムであり、NMDA受容体のコアゴニストであるD-セリンの代謝調節を介して、統合失調症の発症とその病態に密接に関与する』との仮説の検証を行うことを目的とした。そこで、D-セリンが実際にアストログリア細胞で代謝されるのか否か、またその代謝の結果、細胞がどの様な影響を受けるかについて検討するとともに、フェノチアジン系を代表する向精神薬であるクロルプロマジンによるヒトDAO阻害機構の解析を行った。 ラットのC6細胞及びラット初代培養アストロサイトを用いてD-セリン添加後の細胞の変化を解析した。その結果タイプ1アストロサイトで細胞死の誘導が観察された。そこで、マウスDAO遺伝子を恒常的にC6細胞で発現する細胞株を作製しD-セリンを添加したところ、濃度依存的に細胞死が誘導されるのが観察された。この現象は、D-セリンの代謝により生成されたH_2O_2の作用であると考えられ、実際カタラーゼの投与により細胞死の誘導が増強した。さらにDAOの阻害剤の添加によりこの細胞死は抑制された。以上から、観察された細胞死がD-セリンのDAOによる代謝の結果引き起こされた現象であることが予想され、脳においてはD-セリンの代謝にアストログリア細胞に存在するDAOが積極的に関与することが示唆された。 次にヒトDAOを用いてクロルプロマジンによる酵素阻害効果の検討を行った。解析に用いる酵素タンパク質は、ヒトDAOを大腸菌で発現させ精製したもので、D-セリン等の中性アミノ酸に対するK_m値、阻害剤である安息香酸ナトリウムに対するK_i値はブタDAOのパラメータとほぼ同等であった。クロルプロマジンを酵素溶液に加え、酸素電極にて酵素活性の阻害、また蛍光・吸光を用いた光学的観測手法にて水溶液中における酵素分子の状態変化の有無等を観察し、ヒトDAOに対する影響を調べた。その結果、活性測定においてクロルプロマジンがヒトDAOに対しても、阻害効果を有することを見出した。
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