研究概要 |
本年度は、胃癌の早期診断、個性診断を行うためのミニプロテオームアレイを作成する目的で、我々が作成した胃癌SAGEライブラリー(GEO Accession no.GSE545)とSAGEmapデータベース中の主要な14の正常臓器におけるライブラリーとを比較し、候補遺伝子をリストアップし、抗体作成に着手、一部のものは免疫染色およびELISAによる血清中の同定を行った。SAGEライブラリーの比較によって得られた癌特異的発現遺伝子の候補は54個であり、これらについて実際の正常臓器(心臓、肺、肝臓、脳、腎臓など14臓器)と10例程度の胃癌組織における遺伝子発現を定量的RT-PCR法によって検討し、APIN,TRAG3,CYP2W1,MIA,MMP-10,DKK4,GW112,REGIV,HORMAD1の9遺伝子が胃癌に特異的に発現することを見い出した。この内、MIA,DKK4,MMP-10は、抗体が入手可能であり、免疫染色ではMIAとMMP-10が悪性度との相関を確認し、MMP-10では90%以上の症例で血清値が高値を示した。REGIVではRecombinant蛋白を調整してポリクローナル抗体を作成、免疫染色では胃癌、大腸癌、膵癌、消化管カルチノイドにほぼ特異的に発現すること、ELISA法によって胃癌患者の36%において血清中REGIVが高値であることを見い出した。尚、REGIV蛋白については、SELEX法によりRNA aptamerの精製を試みたが、ゲルシフトアッセイ等での特異的結合の確認には至っていない。他の遺伝子についても順次Recombinant蛋白を調整しており、これらに対するモノクローナル抗体を作成、ウエスタンブロット及び免疫染色にて反応性、特異性を確認中である。
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