研究課題/領域番号 |
17659102
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
居石 克夫 九州大学, 大学院医学研究院, 教授 (70108710)
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研究分担者 |
中川 和憲 九州大学, 大学院医学研究院, 講師 (50217668)
米満 吉和 九州大学, 大学院医学研究院, 助教授 (40315065)
鬼丸 満穂 九州大学, 大学院医学研究院, 特別教員 (00380626)
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キーワード | 血管内皮細胞 / プロモーター / マイクロアレイ / シグナル伝達 / Caspr3 |
研究概要 |
血管内皮細胞は、血管と循環している要素との機能的境界をなし、炎症、血管新生、止血といった血管イベントに重要な役割を果たす。本研究は、こうした血管内皮細胞の接着(内皮細胞同士、あるいは平滑筋細胞、単球、Mφなどとの接着)、それに伴うシグナルによる細胞機能の変化と意義の解明を目的とする。そこで特に、申請者らが最近内皮細胞での発現を新規同定したタンパク(Caspr3)について(1)病態モデルにおける発現状況と生理学的意義の考察、(2)内皮における発現制御の解明を中心に検討した。 in vivoの病的モデルとして、マウス虚血下肢モデルを用いFGF-1、FGF-2導入の有無の条件下にてマイクロアレイによる解析を試行した。虚血下肢が救済されないFGF-1と、救済されるFGF-2群での細胞の接着シグナルを基盤とした血管構築に関与の違いを想定したが、その結果からは、FGF-1導入、FGF-2導入群間で、Caspr3をはじめとして他に病態に関連が深いと想定される因子の有意な発現の差は観察されなかった。 発現制御に関しては、プロモーター配列解析の結果、ORFの上流の415bpが同定でき、この領域に結合が想定されうる転写因子として、p300、MZF1、Sp1、AP-4等が確認された。現時点ではこの部分の機能的なプロモーター活性を持つかは不明であるが、Sp1は、サイトカインによる遺伝子誘導に関係する重要な転写因子として知られる。 以上、本年度の現状ではCaspr3と血管リモデリングを結びつける機能連関同定には至っていない。しかしながら、Caspr3血管内皮細胞での誘導的発現制御の可能性も判明したことから、Caspr3の機能と内皮細胞の機能に関連した生理的意義の萌芽的検討を引き続き進めていく必要があると考える。
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