研究課題/領域番号 |
17659116
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中川 和憲 九州大学, 大学院医学研究院, 講師 (50217668)
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研究分担者 |
居石 克夫 九州大学, 大学院医学研究院, 教授 (70108710)
米満 吉和 九州大学, 大学院医学研究院, 助教授 (40315065)
鬼丸 満穂 九州大学, 大学院医学研究院, 特別教員 (00380626)
佐田 志穂子 九州大学, 大学院医学研究院, 学術研究員 (30380629)
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キーワード | 血管内皮細胞 / フォスファターゼ / 脱リン酸化 / シグナル伝達 |
研究概要 |
申請者らは血管壁のリモデリングに関して、複数の成長因子の受容体(リン酸化)シグナルの時空的階層的な統制が生理・病理学的に重要な役割を果たすことを解明してきた。本研究では、こうしたリン酸化シグナルの「スイッチオフ(脱リン酸化)」に関わりうる分子として内皮に発現を確認した受容体型フォスファターゼPTPβの生理学的意義の探索を行った。 PTPβが機能的血管構築に与える影響を見るために、マウス虚血下肢モデルでの発現差違をマイクロアレイにより検討した。機能的血管新生の誘導により虚血下肢が救済されるFGF-2遺伝子導入群、救済されないFGF-1導入群での発現動態を比較した結果、両群間での有意な発現差は見られず、このモデルでの機能的血管構築に関する役割同定に至らなかった。 一方、培養での内皮細胞密度による発現誘導は確認したものの、血管新生関連因子(VEGF、VEGF-C、HGF、FGF-2、TNFα、Ang-1)による内皮刺激では、有意な発現変化は認めなかった。つまり、現在までに判明している発現誘導要因は細胞密度(あるいは接着阻害)のみであり、その意義は、内皮細胞の増殖あるいは遊走制御に関わるものと推測された。 一方、配列解析で、GenBank登録(Arg-1559)と違うCys-1559を同定した。これは、(1)他動物種のゲノムから推測した遺伝子情報との相同性解析、(2)同一族に属するフォスファターゼDEP-1との構造比較、(3)我々が得た複数の独立クローンが全てCys-1559である3点に加え、Cysは立体構築に重要でよく保存されるアミノ酸であることを踏まえ、既報は多型かエラーでありCysが正しい一次構造と結論した。来年度は、この構造情報に基づく組換え体等を用い、細胞同士の接着に関わる分子シグナル機構の解析にあたりたい。
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