アルツハイマー病神経細胞死を特異的に抑えるヒューマニン(HN)あるいはHN類似分子が細胞癌化に密接に関与する可能性は非常に高いと考えられる。この仮説を証明するために、1)HNが発癌促進に関係することの分子レベル及び個体レベルでの直接証明、2)HNあるいはその受容体などは標的とした癌治療開発、などの研究計画の一年目を行った。 1.HNあるいはHN様分子が癌細胞で高発現していることの証拠およびH様分子の同定 大腸癌培養細胞(Caco-2)におけて、HNモノクローナル抗体とクロスする約45KDのHN様分子(HN45)発現が亢進しているを見い出した。この抗体を用いて、大量のCaco-2細胞中のHN45を免疫沈降し、最終的にこの分子がサイトケラチン群に属する蛋白質であることを同定した。さらに、そのC末に存在するHN抗体とクロスするエピトープにHN様活性があるかいなかを現在検討中である。 2.発癌に関係することのin vitroでの証明 in vitroでコロニー形成をHNが促進する傾向を見出せなかった。3の研究により、HN受容体は限定した細胞にのみ、発現しているため、今後は、神経細胞などに絞って他の因子共存下で同様な検討を行う。 3.HNの細胞膜受容体をかいするシグナル伝達経路野解明 HNの神経保護作用にはgp130/Jak2/stat3 cascadeが関与していることを明らかにした。またこの研究を進め、HNの細胞膜受容体がCNTFR/WSX-1/gp130であることを見い出した。 4.HN transgenic mouseの作成および発癌傾向の検討 CMV promoter下にFlag tagをC末につけたHNを高発現させるベクターを作成して、これをマウスES cellに導入して、HN transgenic mouseを作成した。現在、発現を確認中である
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