研究概要 |
目的:ヒトマラリアである熱帯熱マラリアの動物モデルを作製しワクチンや抗マラリア薬の開発に資する。 方法と結果:臍帯血より高純度の造血幹細胞の分離精製:市中病院より、検査に用いた後の廃臍帯血を入手し、12時間以内に実験室に搬送を行った。まず、臍帯血はフイコールハイパック比重遠心法により単核球分離を行った。造血幹細胞のマーカーであるCD34陽性の血液幹細胞分画をミルテニル社のMACSビーズ法により精製を行った。その結果、2度カラム精製を行う事で、CD34陽性細胞の純度を95%以上にあげる事が可能となった。'確認はFACS Culiberによる検査で行った。また、CD34陽性細胞は単核球中に0.3%程度存在する事が確認された。 赤血球期ヒトマラリア原虫の実験室内での培養実験:ヘマトクリット値5%のヒト0型赤血球と、10%ヒトB型あるいはA型血清を含むRPMI1640培養液を用いて、CO_2,O_2,N_2がそれぞれ5%、5%、90%の混合ガス中で培養を行った。その結果、赤血球期ヒトマラリア原虫の生活史は、ほぼ48時間で周期することが確認された。また、これらの培養ヒトマラリア原虫については、ゼラチン濃縮法を用いる事で、輪状体を除くヒトマラリア原虫を60%程度まで濃縮できる事を確認した。 造血幹細胞の免疫不全マウスヘの移入:熱帯医学研究所倫理委員会の審査を受け承認された。実験中央研究所よりNOGマウス(雌4週令)を購入し、長崎大学実験動物施設のSPF室にて飼育した。放射線照射により骨髄を処理したのち、眼窩より脳底静脈叢に臍帯血由来のCD34陽性の細胞を注入した。6週後より末梢血にヒトB細胞マーカー陽性細胞を検出し、その後CD3陽性のT細胞が出現したが、その後ヒト赤血球の出現はなかった。
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