研究課題/領域番号 |
17659147
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
松崎 一葉 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 助教授 (10229453)
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研究分担者 |
笹原 信一朗 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (10375496)
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キーワード | CSR(企業社会的責任) / 労働安全衛生 / CSRレポート / 職業災害 / メンタルヘルス / 労働安全衛生マネジメント |
研究概要 |
CSRの重要な要素としての従業員の労働安全衛生に対する日本企業の意識付けおよびその経年変化を調査する目的で、東京証券取引所第一部(東証一部)と第二部(東証二部)に上場する企業のうち、アンケート返送があった企業に関して、2003年度のCSRに関する報告書を解析した。調査方法として、各企業報告書内の労働安全衛生に関するキーワードの出現数および出現頻度を計測する手法を用いた。 調査の結果、労働安全衛生に関する記載があった企業は03年度が89社中50社(56.2%)であった。しかし、その記載ページ数は1.46±0.61ページ(平均±標準偏差)と1〜2ページにとどまっていた。 産業構造別にみると、第二次産業企業においては03年度が71社中44社(62.0%)、第三次産業企業においては、03年度が17社中6社(35.3%)に労働安全衛生に関する記載が見られた。また、個々のキーワード別には、「職業災害、労働災害」が89社中35社(39.3%)、ついで「メンタルヘルス」の記載頻度が21社(23.6%)、「労働安全衛生マネジメントシステム」が20社(22.5%)と続いた。「メンタルヘルス」については社会的な関心の高まり、「労働安全衛生マネジメントシステム」については、OHSAS18001など国際的なガイドラインの採用項目となっていることが相対的に高い記載頻度となって現れたと考えられるが、絶対的にはいまだにその記載頻度は50%にも満たなかった。 これらの知見から、日本企業が現在少しずつではあるが確実に従業員の労働安全衛生をCSRの重要な要素と位置づけつつある一方で、いまだその取組は十分とは言い難いことが示唆された。CSRレポートの記載事項は社会の関心に基づく企業の社会的責任への取組を反映すると考えられ、さらなる経年追跡調査が重要であると考えられた。
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