研究課題
平成17年度岐阜県内の筋萎縮性側索硬化症(ALS)特定疾患申請者100名のうち、日本ALS協会岐阜県支部の会員および岐阜県連絡会議でケアをしている患者46名に、岐阜大学倫理委員会の承認のもと、アンケート調査を行った。回答者は15名、インターネットでの通信に興味のある患者が多かったと思われるが、療養上の悩みに対する対応では全体の1/3のみが満足ないしやや満足であった。またインターネットでのメール通信が出来る方が4名であったが、全体の3/4の患者が興味を示し、やってみたいという回答であった。岐阜県内の患者の年齢層は70〜74歳がピークで22名、新規登録者はなんと75〜79歳が6名と最も多かった。人口構成の高齢化、医療の進歩により他疾患での死亡が減り、かつ診断技術の進歩により、ALSは高齢者の病気といった感を呈してきている。しかし、インターネットの使用状況は55〜59歳が4名で最も多く、やってみたいという人を含めほとんどが64歳くらいまでで、65歳以降ではできる、やりたいという患者は少なくなる。患者のQOLの測定にはSEIQoL法を採用し、コントロール約60名について測定した。ALSの患者においては測定における関心事を引き出すのが困難で、インターネットを介して1名、他に面談で6名を測定した。その情報はインフォームドコンセントをうけて、地域ケアのネットワークで役立てている。インターネットを介し、医療とくに最新の治療薬に関する情報、草花の写真、音楽など送信を行い、一方患者の返信による心理的分析から最も良い心のケアのあり方を検討している。"IT機器を活用した難病心のケアシステム構築の研究会"を立ち上げ、これまで6回開催し、各症例の検討と多専門職を含めた学習会を継続している。