研修医を対象として教育と教育成果の判定のために、臨床判断、医療安全、コンピテンシーを取り入れたコンピューターシミュレーションツールを作成した。研究は、AcademyHealth学会(米国、SanDiego)およびハーバード大学(米国、Boston)でのsimulation laboratoryの情報収集により、テーマとシナリオを作成し、フローチャートを作成し、プログラム作成を行った。プログラムは、時間概念を持つシミュレータの作成と同時に、逐次的な臨床判断ができ、それが評価システムにつながるようにした。 結果 診察室の画像を基礎画面として、時間の経過とともに、痛み、バイタルサイン、診察、検査結果、画像、手技、病気の選択、および指示などが逐次、研修医の臨床判断能力を試す因子として変化するツールを作成し、その選択した記録は研修医評価のフィードバックに用いられるようにした。 コンピテンシーと医療安全を含んだデモプログラムをつくることができた。臨床判断を取り入れたプロセス優位のコンピュータシミュレーションはこれまでにはなかった。今後の課題は操作性の向上、評価の精度の向上、他疾患のシミュレーションの製作および研修医による試行とその評価である。 この成果は、2005年10月の第42回日本病院管理学会で「医療安全を加味した医師の臨床判断教育と評価のためのシミュレーションツールの開発」で口演発表し、2006年1月の第6回医療シミュレーション学会(米国、SanDiego)のポスターのプログラム42番としてAssessment tool for resident using the clinical decision making simulation with patient safety成果を発表し評価を得た。
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