研究課題
ナノテクノロジー仕様の酸化チタン及び酸化亜鉛をそれぞれ、8μg/50μlをNC/Ngaマウスに5日間連続点鼻し、さらに11日目にチャレンジ投与した喘息発症実験で、12日目に肺の組織学的検討と供に肺胞洗浄液の細胞分画を観察した。また、我々がこのマウスを用いて、ダニタンパク質抽出液Df抗原を点鼻し作成した、喘息モデルに対して、酸化チタン40μg/50μlを11日目のDfチャレンジ投与の直前に点鼻投与し、肺胞洗浄液中の細胞分画への影響を検討した。その結果、酸化チタンは肺胞マクロファージに取り込まれ一部気管支周囲に炎症細胞の浸潤があり、NO合成酵素の一つであるiNOSが一部誘導されていたが、酸化亜鉛にはそのような作用は認められなかった。また、酸化亜鉛、酸化チタンによる肺胞洗浄液細胞分画は、ほとんどがマクロファージであり好酸球の増加は認められなかった。Df点鼻投与により発症した喘息モデルでは、肺胞洗浄液中には、多数のマクロファージ、好中球、好酸球の浸出が認められたのに対して、酸化チタンをチャレンジ前投与した場合、マクロファージ、好酸球の浸出を抑制した。以上より、酸化チタンには、吸入毒性がある可能性があるが、易アレルギー性は少ないと思われた。しかしながら、酸化チタンにはiNOS誘導のようなTh1刺激作用があり、好酸球の浸潤を抑制する作用があることから、喘息を抑制する可能性がある。治療面への応用を考慮し、この後、さらに検討する必要があると思われる。
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