本研究の目的は、RNAiジーン・サイレンシング法を用いてヒト正常組織由来株化細胞中のDNA修復系関連遺伝子を個別にノックダウンしてDNA修復異常細胞シリーズを樹立し、樹立した細胞シリーズを用いて食品由来物質のDNA修復系に与える影響を調べ、発がん抑制メカニズムを解明し、発がん予防薬の開発の応用に役立てることである。 平成17年度における4つの計画 1.siRNAのデザイン 2.ヒト正常株化細胞へのトランスフェクション 3.RNAi(ジーン・サイレンシング)効果の確認 4.ベース・データの蓄積(DNA修復・シグナリング関連遺伝子の発現定量、アポトーシス等) の内、現段階では1、および2の途中まで終えている。1に関しては、DNA修復系のひとつであるミスマッチ関連遺伝子群の内、自然発生突然変異やゲノムの不安定化に関連の強いhMLH1およびhPMS2を、酸化ダメージ修復関連遺伝子群からは喫煙者における肺がんリスクの増加に関連の強いOGG1について、最適なsiRNAをデザインした。さらに、2については、細胞内で永久的なジーン・サイレンシング効果を得るためのベクター(レトロウィルス)およびトランスフェクトする正常細胞(大腸、あるいは皮膚由来)を選考中である。4の一部であるアポトーシスについては測定法の確立を終え、さらにリアルタイムPCRシステムを用いた各DNA修復関連遺伝子の発現定量法の確立について同時進行している。ベクターとホスト細胞の選考を終え次第、和歌山県立医科大学「組み換えDNA実験安全委員会」の規定に則って研究を進めていく予定である。
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