研究課題
【目的】マウスのES細胞株であるCMTI-1(129SVマウス由来)を用いて、胚様体形成法を用いて、マクロファージへ分化誘導し、毒性学試験に使用できるかを検討した。【方法】前日にゼラチンコーディングされた60mmの培養皿にフィーダー細胞を1x10^6個まき、十分にピペティングを行いシングルセルにした上で、ES細胞を播いた(5x10^5個)。37℃、5%CO_2の条件下でleukemia inhibitory factor(LIF)を含んだDulbecco's modified Eagle medium(DMEM)で培養し、最初は毎日培地を交換して、3日ごとに継代した。5代継代の後、Lindmark, et. al.(2004)の研究を元に、マクロファージへの分化誘導を試みた。ES細胞をLIFを含んでいないIscove modified Dulbecco's media(IMDM)で3時間培養し、トリプシンで単離した後に、1x10^4個にして更に培養しEB細胞にし、11日後にInterleukin 3(IL-3)及びmacrophage colony stimulating factor(M-CSF),ヒトインスリン、IL-1βを含んだIscove modified Dulbecco's media(IMDM)で10日間培養し、マクロファージに分化させた。培養プレートに付着した細胞をマクロファージとして分離した。【結果】付着した細胞がごく一部で、フィーダー細胞との分離も難しく、毒性試験に供するほど、十分なマクロファージは得られなかった。【考察】既存のマクロファージ系培養細胞(J774.1細胞、RAW264.7細胞)では簡便に安価に毒性試験が実施でき、ES細胞からマクロファージを分化誘導する意義は現時点では大きくないと考える。
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Industrial Health 45
ページ: 426-436