研究課題/領域番号 |
17659181
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研究機関 | 宮城県立がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
和田 正 宮城県立がんセンター(研究所), 生化学部, 主任研究員 (50390894)
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研究分担者 |
秦 敬子 宮城県立がんセンター(研究所), 生化学部, 共同研究員 (60390895)
佐藤 郁郎 宮城県立がんセンター(研究所), 病理部, 総括研究員 (50225918)
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キーワード | 癌 / 酵素 / 糖鎖 / 遺伝子 / シアリダーゼ / シアル酸 / トランスレーショナルリサーチ / 医療・福祉 |
研究概要 |
近年増加している前立腺癌の一次検診として、現在、血清PSA(前立腺特異抗原)値によるスクリーニングが実施されている。しかし、PSA値は必ずしも癌に特異的ではない為、偽陰性あるいは偽陽性を示すことがある。がんの見逃しや不必要な生検を減らすために、より正確な前立腺癌の鑑別診断法が望まれている。本研究では、我々が研究を進めてきた形質膜シアリダーゼ遺伝子(国際特許登録)を利用し、癌診断の向上を図ろうとするものである。我々はこれまで、シアリダーゼ遺伝子(NEU3)の単離およびモノクロナール抗体(国内特許登録)の作成に世界で初めて成功し、さらにこのNEU3が前立腺癌で過剰発現していること,および癌の浸潤や運動能と相関していることを明らかにしてきた。これらをツールとして、新しい前立腺癌診断法の開発を目指し、シアリダーゼモノクロナール抗体による免疫組織染色やPCRによるmRNAレベル解析などを行った。 前立腺癌を疑われた患者から針生検により採取した前立腺組織、および前立腺癌患者の手術摘出標本について、mRNAレベルを解析すると、癌部では非癌部に比べて、有意にNEU3レベルが上昇していることがわかった。さらに、シアリダーゼモノクロナール抗体による免疫組織染色を行うと、非癌部ではほとんど染色されなかったが、分化度が低い癌ではより強く染色された。グリソンスコア等と合わせて検討している。今後は前立腺癌においてNEU3が高発現する意義をさらに明らかにする一方、シアリダーゼ活性や酵素蛋白の微量検出など、その検出感度の向上を試み、癌診断への応用を図る。
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