研究課題/領域番号 |
17659182
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
佐田 文宏 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (90187154)
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研究分担者 |
岸 玲子 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (80112449)
西條 泰明 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助手 (70360906)
山田 秀人 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (40220397)
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キーワード | 低出生体重 / 子宮内発育遅延 / 妊娠 / 喫煙 / 代謝酵素 / 環境化学物質 / 遺伝子多型 / 葉酸 |
研究概要 |
胎児期の環境要因は、児の出生時のみならず、小児期さらには成人期の健康度にも大きな影響を及ぼす。妊娠期の母親の生活習慣、栄養状態、化学物質の曝露と児の出生後の体重、身長などの小児の成長の指標との関連を検討し、生後の健康度を予測し、疾病予防・健康増進に役立てることを目的として、本研究を実施した。 妊婦・小児を対象とした既存コホートを研究対象とし、妊娠12週前後に、質問紙調査を実施し、居住地や職業による化学物質の曝露、喫煙・飲酒などの生活習慣、カフェイン・イソフラボン・魚介類の摂取などを調べた。児の成長の指標として、出生時の体格(体重、身長、胸囲、頭囲)を測定した。個体要因は、母親側の異物、葉酸、ステロイドの代謝能と関連のあるAHR、CYP1A1、GSTM1、GSTT1、COMT、MTHFR遺伝子多型を調べた。母親の環境化学物質の曝露の指標として、血中PCB・ダイオキシン類、有機フッ素系化合物の測定を行った。 喫煙群の母親から生まれた児の出生時体重、身長は、非喫煙群と比べると有意に減少した。喫煙群のAHR遺伝子野生型、CYP1A1遺伝子変異型、GSTM1遺伝子欠損型の母親から生まれた児の出生時体重、身長は、いずれも非喫煙群のその他の遺伝子型に比べて有意に減少した。AHRとCYP1A1遺伝子、CYP1A1とGSTM1遺伝子の組み合わせで、出生時体重、身長の減少はさらに大きくなった。 COMT遺伝子の低活性アリルをホモ接合(Met/Met)に持つ女性の低出生体重、子宮内発育遅延に対するオッズ比はいずれも有意に上昇した。 母親の血清葉酸値5.7ng/ml以下の群で出生時体重との間に負の関連がみられた。また、血清葉酸値5.7ng/ml以下の群と5.8-7.0ng/mlの群で、子宮内発育遅延に対するオッズ比はいずれも有意に上昇した。葉酸値の低下が子宮内発育遅延のリスクを上昇させることが示唆された。
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