研究概要 |
睡眠呼吸障害(SDB)専門外来受診者を対象に、質問紙調査を実施した結果、受診者の約40%が仕事中の居眠りを、30%以上の人が運転中の居眠りを経験し、さらに運転中の居眠り経験者のうち、30%以上の人が実際に居眠りによる事故を経験していた。また、「重大事故あり」と「眠気なし」の両グループについて多変量解析を行った結果、「重大事故あり」グループの体格指数(BMI),昼間の眠気指数(ESS)が統計上有意に高く、睡眠1時間あたりの覚醒回数、SDB重症度も高い傾向がみられ、SDBと事故の因果関係が示唆された。 全日本トラック協会加盟事業所勤務の20〜69歳男性トラック運転者1,426人を対象にパルスオキシメトリ法を用いてSDBスクリーニング検査を実施し有病率を算出したところ、軽度SDB(15>3%ODI≧5)は26%、中等度SDB(30>3%ODI≧15)は5%、重症SDB(3%ODI≧30)は2%であった。簡易問診結果と組み合わせたところ、「ほぼ毎日いびきをかく」もしくは「BMI≧25kg/m2」の者を条件とした場合、80%以上の感度でSDBを検出することが可能であった。 20〜69歳男性トラック運転者(同上)5,247人を対象にフローセンサ法で得られたSDB重症度と主観的な眠気の度合いとの関係を調査したところ、日中に強い眠気を感じる人(ESS値16以上)では重度SDBを有する者(9%)の割合が高いものの、眠気を感じない人(ESS値5以下)の中にも中等度〜重度のSDBを有する者(8%)がいた。また同集団において肥満群(BMI値30以上)では睡眠呼吸障害指数(RDI値)20以上の中等度触重度のSDBを有する者(29%)の割合が高いものの、非肥満者(BMI値25未満)の中にも軽症以上のSDB (RDI値5以上)を有する者が47%、中等度以上のSDBを有する者が5%いた。特に非肥満者が多いわが国におけるSDBスクリーニング検査法としてフローセンサ法の有用性が確認された。
|