研究課題/領域番号 |
17659196
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
植木 美鈴 福井大学, 医学部, 教務職員 (00165656)
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研究分担者 |
河合 康幸 金沢医科大学, 医学部, 助手 (40324157)
飯田 礼子 福井大学, 医学部, 助手 (40139788)
安田 年博 福井大学, 医学部, 教授 (80175645)
竹下 治男 島根大学, 医学部, 教授 (90292599)
小湊 慶彦 群馬大学, 大学院医学系研究科, 教授 (30205512)
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キーワード | deoxyribonuclease I / 心筋梗塞 / 内因性急死 / KNaseI遺伝子 / 転写因子 / 遺伝的多型 / 鑑別診断 / 法医学 |
研究概要 |
従前の研究から、血清deoxyribonuclease I (DNaseI)が急性心筋梗塞(AMI)発症後急激な活性上昇を示すことを見出した。一方、内因性急死のうち、AMI死は特異的な所見が乏しく鑑別診断が困難な場合が多い。そこで、本研究では、解剖時などに採取した血液試料中のDNaseI活性値からAMI死を鑑別診断することを目的とする。本年度は、AMI発症に伴う血清DNaseI活性上昇の分子論的基盤の解明などを行った。 1.AMIに伴う活性上昇にはDNaseI遺伝子の転写調節が関与していると考えられ、前年度に見出したDNaseI産生ヒト細胞QGP-1を用いて関連する転写因子の同定を行った。プロモーター解析、EMSA法およびクロマチン免疫沈降法などによって転写因子Sp1が主要な転写因子であることを明らかとした。これはDNaseI遺伝子発現に関して初めて見出された転写因子であった。 2.QGP-1細胞やヒト膵臓由来RNA等を用いたRT-PCR解析から、DNaseI転写産物は少なくとも10種類のalternative splicing isoformから構成されることが明らかとなった。さらに、臓器によってsplicing patternが異なっており、活性なDNaseI産生にはsplicingなどの転写後調節が大きく関与しているものと考えられた。 3.ヒトDNaseIは多型形質であり、主要対立遺伝子産物としてDNaseI1型および2型が存在する。それらの生化学的性状を比較したところ、1型酵素は2型酵素に比較して比活性およびタンベク分解酵素に対する感受性が高いことが明らかとなった。 4.AMIに伴い上昇する血中DNaseIの起源を明らかにするため、ヒト培養冠動脈平滑筋および内皮細胞、単離した心筋細胞について低酸素暴露実験等を実施した。しかし、DNaseI遺伝子発現および活性には有意な上昇は観察されず、起源臓器としてその他の部位が考えられた。そこで、膵臓由来細胞であるQGP-1細胞を用いた低酸素暴露実験等によって起源部位を明らかにする予定である。
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