研究概要 |
消化器由来の培養細胞として、ラット正常胃粘膜由来のRGM-1と、ヒト胃がん由来のMKN-45を用いた。1)各群の細胞数の倍加時間を測定し、一定時間でのBrdUの取り込み量を生体蛍光顕微鏡と画像処理装置を組み合わせた装置で測定しDNA複製速度を比較したところ、正常胃粘膜細胞であるRGM-1と胃がん由来MKN-45細胞との間に有意な差を認めなかった。2)細胞内NO, ONOO-濃度をNO特異的蛍光指示薬DAF2DAおよび活性酸素種蛍光指示薬HPF/APFの組み合わせで得られる細胞の蛍光を上記測定装置によって計測したところ、胃がん細胞由来のMKN-45において、有意に双方の蛍光強度の上昇を認めた。がん細胞において細胞内NO・ONOO-量が上昇していることが確認された。3)細胞内iNOS, SOD発現を抗iNOS,抗Zn/Cu-SODモノクローナル抗体で免疫組織学的に検討したところ、RGM-1ではともに発現が認められなかった。4)核におけるRibonuleotide Reductase(RNR)発現を抗RNRモノクローナル抗体で免疫組織学的染色し確認したが、両細胞間で明らかな差は認められなかった。核分画を抽出して同様の実験を行ったが、有意差を認めなかった。5)ヘマトヘミン-59Feを用い、細胞培養液中に存在する鉄の取り込み量がRGM-1細胞とMKN-45細胞で差があるのか検討したが、鉄取り込み量に有意差は認められなかった。
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