1.DLST遺伝子ノツクダウンの最適化 前年度DLST遺伝子に対するshRNAを発現プラスミド(pshDLST)を構築し、その機能を確認した。そこで、間葉系幹細胞E7において最も効率よくDLST遺伝子をノックダウンするための、プラスミドDNA導入方法の最適化を行った。その結果、FuGene6(Roche Aplied Science)3μL、プラスミドDNA1μLを混合し、6-wellプレートに2mLの培地で24時間導入反応を行うことにより、導入反応終了後48時間までDLST遺伝子mRNA発現が30%まで抑制されることを確認した。 2.DLST遺伝子ノックダウンによる間葉系幹細胞におけるミトコンドリア電位の変化 E7細胞に対してプラスミド導入反応(24時間)と培養(48時間)を1セットとし、これを3回繰り返した.すべての行程を終えた後、細胞内ミトコンドリアをローダミン(Rho)123により染色した.Rho123はミトコンドリア膜電位が脱分極方向に変化すると蛍光強度が上昇する。この結果、DLST遺伝子のノックダウンでは、有意な蛍光強度の変化は観察されなかった。 3.DLST遺伝子ノックダウンによる間葉系幹細胞におけるアルブミン遺伝子発現の変化 上記と同様のプロトコールに従い、各セット終了ごとにE7細胞mRNAを回収し、肝細胞のマーカー遺伝子であるアルブミン遺伝子の発現量をReal-Time RT-PCR法により定量した。このとき3セット終了までDLST遺伝子の発現抑制は確認された。その結果予想に反して、DLST遺伝子発現抑制によりアルブミンの発現量は70%まで有意に減少していることが明かとなった(3セット目終了時点においてのみ)。 以上のことから、DLST遺伝子発現抑制単独では、間葉系幹細胞を分化するには不十分であることが明かとなった.おそらく分化誘導には、他に何らかのサイトカインの添加なども必要であったものと推測される。
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