研究概要 |
1.肝組織のおける時計遺伝子発現と発現に影響を与える因子の解析 マウスおよびラットをネンブタール麻酔下に開腹し、AM9:00,PM3:00,PM9:00,AM3:00に肝組1織を摘出し、時計遺伝子(Clock mRNA ; mClock、Period2 mRNA:mPer2)の日内発現リズムを検討した。mClockの発現は各時間で変わらなかったが、mPer2の発現は夜間(PM9:00,AM3:00)に強く発現し、日中(AM9:00,PM3:00)には発現減弱をみた。なお、脳組織についても測定予定であったが、技術的な問題を解決することが出来なかった。 次に、マウス肝細胞をコラゲナーゼ灌流により分離し培養24時間後より6時間毎に48時間までmClock、mPer2の発現を検討したが、mClock、mPer2ともその増減は認めなかった。さらに、mClock、mPer2の発現に及ぼすepidermal growth factor(EGF)、dexamethasone(Dex)、insulin(Ins)の影響を検討した。EGF(50ng/ml)、Dex(20ng/ml)およびIns(30ng/m1)添加後にmPer2発現低下を誘導したが、mClockの発現には変化を認めなかった。しかし、EGF、DexおよびIns添加はマウス初代肝細胞の証)er2の日内リズムを回復させた(論文準備中)。 2.人の末梢血におけるClock mRNA、Period2 mRNA発現の検討 健常成人について末梢血単核球のmClock、mPer2発現の有無を検討し、いずれも発現を認めた。 肝硬変患者では末梢血中の単核球数が少なく十分なRNA回収が難しい例が多く、そのためmPer2発現の再現性に問題が生じた。そこで、全血中のRNA回収方法に切り替え検討中である。
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