研究課題/領域番号 |
17659230
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
北嶋 繁孝 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (30186241)
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研究分担者 |
砂盛 誠 東京医科歯科大学, 名誉教授 (90138280)
磯部 光章 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (80176263)
安達 三美 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助手 (10323693)
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キーワード | 心筋再分裂 / 終末分化 / 再生 / サイクリンD / p27 / E3リガーゼ / ヒト心筋 / 心筋症 |
研究概要 |
本研究課題は、我々が新生児ラット心筋を用いて見出した心筋再分裂誘導法を応用して、成人ラットさらにはヒト心筋の再分裂法を確立することである。その目的のために、まず成獣ラット心筋の単離と培養法を確立した。6週齢ラットの心筋をコラゲナーゼ処理し心筋を組織から分離し、次いで血清なしの条件で48時間培養することで、混入した線維芽細胞を極力抑えた成獣ラット心筋を得た。この培養心筋に、我々が開発したサイクリン核内発現ベクターとp27分解E3リガーゼSkp2発現ベクターを用いることにより、細胞分裂誘導に成功した。すなわち、細胞分裂マーカーであるKi67,リン酸化型ヒネトンH3を検出できた。さらに、成獣ラットの虚血個体心筋モデルを用いて、本法が確かに心筋の分裂を誘導できることを確認した。特筆すべきは、細胞周期の染色体分裂期のM期の各相に相当する細胞を検出できかつ細胞質分裂後の細胞も同定できたことから、我々の方法が完全な終末分化段階にある成獣ラット心筋細胞の細胞周期を完全に回すことに有効であることが示されたことである。さらに、単離した心筋単一細胞のmRNAの解析を行い、細胞周期関連遺伝子の発現を確認できた。実験材料として制限される心筋細胞の解析にゲノミックス解析が有用であることが強く示唆される。本研究期間中、外科手術標品由来のヒト心筋材料を得るチャンスがなく、ヒト心筋研究は行うことが出来なかったが、凍結保存したヒト心室心筋細胞を米国より入手し本試料を用いた細胞分裂再誘導を行い、我々の方法がヒトにおいても有効である結果を得つつある。 以上、細胞周期のアクセル分子の核内発現と抑制因子の特異的なプロテアソーム依存性分解を組み合わせることにより、完全に終末分化した成人心筋細胞の分裂誘導法を確立できた。特発性心筋症など重症心不全の再生医学に向けた再生医学の基礎になる結果を得た。
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