クラスBのG蛋白共役型受容体(GPCR)のリガンドはペプチドである。したがって、我々はこのクラスに属するオーファン受容体を標的にし、そのリガンドの同定を目指している。これまでの研究の進行状況は極めて順調であり、下記の(1)-(5)の成果を得ることができた。 (1)独自にデザインしたプライマーを用いてRT-PCRを行い、ヒトの循環系の臓器(心臓/肺/腎臓/副腎)に高発現している2つのオーファン受容体を選定した(GPCR_AおよびGPCR_B)。 (2)PCR法により、それらの遺伝子(完全長)を獲得した。 (3)各遺伝子のシグナル配列の直後にV5タグを付加し、さらに終止コドンを欠如させた3'端にGFP遺伝子を融合させて、発現ベクター(pCAGGS/Neo ; Kuwasako et al.(2000)J.Biol.Chem.)に組み込んだ。 (4)リポフェクタミン法を用いて、それらの融合遺伝子(V5-GPCR_A-GFPおよびV5-GPCR_B-GFP)をHEK-293細胞(当該研究に最も適した培養細胞)に導入し、G418(ネオマイシン)による薬剤選別を行った。数週間後に、二重染色を行い、V5タグとGFPが共発現しているクローンをそれぞれ3つずつ獲得した(標的受容体の細胞膜発現は、FACS解析で定量した)。 (5)当教室で確立した方法を駆使して、ブタ/ウシの組織(心房/心室/肺/副腎)を抽出した。今後、得られた組織抽出液を逆相HPLC、イオン交換クロマトグラフィー、ゲルろ過などに適宜展開して、リガンドを精製していく予定である。
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