研究課題/領域番号 |
17659241
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研究機関 | 国立循環器病センター(研究所) |
研究代表者 |
若林 繁夫 国立循環器病センター(研究所), 循環分子生理部, 部長 (70158583)
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研究分担者 |
岩田 裕子 国立循環器病センター(研究所), 循環分子生理部, 室長 (80171908)
西谷 友重 国立循環器病センター(研究所), 循環分子生理部, 室長 (50393244)
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キーワード | 循環器・高血圧 / 生体分子 / 蛋白質 / トランスレーショナルリサーチ / バイオテクノロジー |
研究概要 |
拡張型心筋症、筋ジストロフィー症などの難治性疾患に代表される筋変性疾患を治療する効果的な医薬品の開発が臨床現場から求められているなかで、本研究は、最近私たちのグループが発見したストレッチ感受性Ca^<2+>チャネル(TRPV2)を標的にした筋変性疾患治療薬を開発するものである。持続的細胞内Ca^<2+>濃度上昇は筋変性疾患に共通する病態的特徴であり、それを引き起こす有力な候補タンパク質がTRPV2である。TRPV2の創薬標的としてのバリデーションを確定する実験、原因不明の心疾患患者心筋におけるTRPV2の局在を調べる実験、インシリコとHTSを組み合わせた実際の阻害薬物スクリーニングを行った。(1)TRPV2のチャネルポア領域に変異を導入したドミナントネガティブ変異体を骨格筋に高発現するマウスを作成した。これを筋ジストロフィー症マウス(mdx)と交配させることにより、筋変性が著明に改善することが判明した。すなわち、少なくとも筋ジストロフィーに関しては、TRPV2の病態的意義を確定できた(論文執筆中)。(2)TRPV2の活性化が異なった原因によって起こる筋変性疾患に共通してみられる現象かどうかを明らかにするために、各種心不全モデル動物およびヒト不全心筋などを用いて、このチャンネルの発現状態を調べその病態的意義を検討した。その結果、原因不明の少なくとも3人の拡張型心筋症患者からの心筋およびいくつかの心筋症モデル動物の心筋で、TRPV2の明らかな形質膜への局在が観察された。(3)TRPV2阻害剤を発見する試みを行った。TRPV2を高濃度ながら阻害する薬物をリード化合物として、インシリコ薬物スクリーニング(京大・奥野らとの共同)を行い約200種類の候補化合物を購入し、平成17年度までに作成されたHTS法を行い、10-1000倍親和性の高い阻害化合物を発見した。現在動物実験を行っている。
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