研究概要 |
今年度は、3次元画像解析を用いて、以下の3つの検討を行い結果を得た。1)以前から検討してきた右上葉肺尖枝B1と下葉前下行枝B8の2本の気管支に加えて、各部位より複数の枝(上葉3本、中葉2本、下葉3本)を測定し、COPD患者における気道病変の均一性の検討を行った。測定評価については、昨年度と同様に3次から6次分枝にかけて中枢から末梢にかけて気道の壁面積比(WA%)を検討した。多くの気管支を調べた結果、末梢の6次では中枢の3次に比べてlobeによるばらつきが少なく、我々が今まで検討していたB1,8の2本が特に末梢の6次に関しては他の気管支の6次の病変を十分に反映しているものと考えられた。2)-950HUを閾値にして気腫病変を立体的に定量評価し、さらに気腫病変を上肺、中肺、下肺と分割することにより、COPDにおける局所における気腫病変と気流制限および気道病変の関係について検討を行った。気流制限の程度は、上肺の気腫とは全く相関は見られなかったが、下肺の気腫とは強い相関が見られた。一方、上肺の気腫は同じく上肺の気道病変とは相関が見られなかったが、下肺の気腫と下肺の末梢気道病変に相関が見られ、下肺の気腫病変の進展と末梢気道病変の進行は、パラレルに進むことが考えられた。3)COPDにおける、気管支拡張薬(チオトロピウム)の気道への影響を3次元画像解析にて検討した。吸入による気流制限の改善の程度は、全体として気道内腔面積の改善の程度と相関し、その関係は3次、4次よりも5次、6次といったより末梢の気道内腔面積の改善と強い相関が見られた。
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