研究概要 |
三重県退職校長教頭会で同意を得られた退職校長、教頭で,前年度施行した9名を対象とした。8例の健常群と前年度Petersenらの提唱する診断基準(Petersen1999)を満たし,mild cognitive impairment(MCI)と診断した1例に対し以下の検査を行った:タッチパネル式コンピュータ、スクリーニングシステム(TCSS),コンピュータを利用したWisconsin Card Sorting Test(WCST),Mini-Mental State Examination(MMSE),レーブン色彩マトリシス検査(RCPM),リバーミード行動記憶検査(RBMT)。また画像検査として頭部MRIと脳血流シンチを健常群2例とMCI例に行った。 健常群、MCI例とも一般平均と比較してRCPMが高値の傾向であった。健常群では前年度と比較し明らかな得点の変化は認めなかった。MCI例ではTCSS,WCST,MMSE,RGPMに変化はなく正常範囲内であったが,RBMTでは前年度より点数の低下を認めた。また,画像検査では,MCI例で頭部MRI上変化は認めなかったが,脳血流シンチで両側側頭葉と前頭葉に血流低下を認め,前年度より広範囲となっていた。 以上から高学歴専門職集団では,TCSS,WCST,MMSEは一般平均と比較し明らかな差は認めないが,RCPMで高値となる傾向がある。RBMTは認知機能を反映し,目常生活レベルでの機能低下を反映しうる。画像検査に関しては,MCI例において頭部MRIでは異常を検出し得なかったが,脳血流シンチで早期から血流低下を検出し得る。
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