研究課題/領域番号 |
17659266
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
小黒 浩明 島根大学, 医学部, 助手 (50346384)
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研究分担者 |
小林 祥泰 島根大学, 医学部, 病院長 (00118811)
村上 陽 島根大学, 医学部, 助手 (20200280)
山口 修平 島根大学, 医学部, 教授 (80135904)
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キーワード | 胃食道逆流 / セロトニン受容体拮抗剤 / sarpogrelate / アンプラーグ / 食道pHモニター / supine refluxer / GER / 経腸栄養 |
研究概要 |
経腸栄養を行っている神経疾患患者の食道内にpHモニターカテーテルを留置し、胃食道逆流(gastro-esophageal reflux:以下GER)を探知しながら有効な薬剤や治療法を模索していく臨床研究である。セロトニン受容体拮抗剤のアンプラーグ(一般名:sarpogrelate)のGERへの抑制効果を見出した。保険適応外の医薬品投与のため、院内医師主導型自主研究の承認を得た(試験管理番号 17-他-7)。被検者となる対象患者およびご家族から全例文書によって同意を取得し、現在まで本臨床試験における合併症、副作用、事故などはない。 研究結果:Drug-off(薬剤投与なし)とDrug-on(薬剤投与有り)について、平均pH、pHが4以下となる合計時間、逆流回数の3項目を比較した。(1)全5症例のうちGERの診断基準を満たしたのは3例。(2)5症例のうち4例は脳血管障害、経鼻胃管は4例、胃瘻施行は1例。(3)Drug-offとDrug-onの比較では、平均pH、逆流回数、pH4.0以下合計時間のいずれにおいてもアンプラーグ投与による有意な効果はなかった。(4)Drug-onにて夜間帯に食道内pHが上昇し安定する傾向が見られ、夜間帯(19:00pmから8:00am)に限定した比較を行った。その結果、5症例全てで平均pHが上昇し、統計学的にも6.0(Drug-off)から6.5(Drug-on)へと有意に上昇した(P=0.0431)。アンプラーグ投与日の夜間に最も薬剤効果が見られた。他の2項目では有意な効果は見られなかった。 考案:アンプラーグの適応病態としては、夜間の仰臥位状態にてGERを認めるsupine refluxerに効果が期待できると考えた。寝たきりの経腸栄養患者は経腸食投与時の昼間はベッドアップされているものの、夜間には仰臥位にされうるためその点からも有効と思われる。今回の研究だけからでは症例数がまだ少ないこともあり決定的な臨床効果は充分証明できておらず、統計学的な面でまだ症例の積み重ねが必要である。 以上の結果については、国内学術学会に演題発表を行い(小黒浩明他:食道内pHモニターによるSarpogrelateの胃食道逆流抑制効果の検討 第47回日本老年医学会学術集会)、国内学術会誌「日本老年医学会雑誌」に原著論文として投稿中である。
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