研究課題/領域番号 |
17659267
|
研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
納 光弘 鹿児島大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (10041435)
|
研究分担者 |
出雲 周二 鹿児島大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (30143811)
久保田 龍二 鹿児島大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教授 (70336337)
|
キーワード | HTLV-I / HAM / 中枢神経組織 / 細胞障害性Tリンパ球 / ペプチド / MHC多量体 |
研究概要 |
HTLV-Iに感染したCD4陽性細胞とHTLV-Iに特異的なCD8陽性細胞障害性T細胞(CTL)の免疫反応がHAM発症に深く関与していると類推されてきたが、HAM患者の脊髄に実際にHTLV-I特異的CTLが浸潤しているのかは不明であった。昨年の我々の研究によりHAMの脊髄でHTLV-I特異的CTLの存在が明らかとなり、浸潤しているCD8陽性細胞のうち20%をこえる細胞がTax11-19特異的CTLであることも判明した。今年度の研究ではサンプルをふやして同じ結果を確認した。また、HTLV-I Tax蛋白に対する特異抗体を使って中枢神経系内においてHTLV-I感染細胞の同定を行い二重染色でこれらの細胞がCD4陽性細胞であることを確認した。加えてパーフォリン、グランザイムBおよびTNF-αなどCTLの細胞障害関連分子の同定をおこない、CTLが中枢において活動性を持つことを確認した。さらにCTLによりアポトーシスを起こしている細胞を検出し、二重染色によりこれらアポトーシス細胞が浸潤細胞の多い血管周囲の主に希突起膠細胞であることを確認した。 HTLV-I感染CD4陽性細胞とHTLV-I特異的CD8陽性CTLが中枢神経系へ浸潤しこれらの細胞を中心とする炎症が起こり、その結果、希突起膠細胞などの中枢神経系細胞がbystander damageを被るというHAMの発症機序が明らかとなった。HTLV-I特異的CTLがHAM発症に深く関与しており、HAMの治療戦略上CTLのコントロールが重要であることが判明した。
|