研究課題
近年、ヒトの遺伝子のセットは2〜3万で規定されていることが分かり、一つの遺伝子が数種の機能の異なる蛋白を規定(選択的スプライシング)したり、一つの蛋白が数種の機能を受け持つ(多機能蛋白)ことにより、少ない遺伝子のセットで効率よくシグナル伝達を行っていることが推定されている。我々がクローニングしたcoactivator activator(CoAA)は転写活性化因子として機能するほか、RNA結合ドメインであるRNA recognition motif(RRM)を持ち、プロモーター依存性選択的スプライシング推進因子として機能する。RNAの中には翻訳されて蛋白を産生するRNAの他、RNAのまま機能するsteroid receptor RNA activator(SRA)のようなコアクチベーターが存在する。RRMを持つCoAA及び、そのスプライシング異性体であり、転写抑制因子であるcoactivator modulator(CoAM)の解析を進めることを目的とし、我々は、新たなアッセイ系を樹立した。1)In vivo免疫沈降蛋白-RNA結合アッセイ2)磁力ビーズ結合ポリA-RNAを用いた、迅速蛋白-RNA結合アッセイ3)発光蛋白ルシフェラーゼによるmammalian three-hybrid assay4)発光RNAによるin vitro蛋白-RNA結合アッセイ5)in vitro GST蛋白-RNA pull-downアッセイ以上のアッセイ及び、既存の実験方法から次の新たな知見が得られた。(1)CoAAはin vivo及び、in vitroにおいて非特異的にRNAと結合する。(2)In vivo及び、in vitroでCoAAはRNA型コアクチベーターであるSRAと結合するとともに、転写を相乗的に活性化する。(3)CoAMはCBPにより活性化された転写を基底レベルまで抑制するが、このとき、histone acetyltransferase(HAT)活性も抑制される。CoAA/CoAMのRRMにRNAが結合することが示された。今後エピジェネティック解析を加えさらに解析を進めるとともにできたら同種の蛋白の解析も行いたい。
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